「続・先生は何をしに上海へ?」

2019年10月8日 ニュース

日本デザイナー学院で「色彩・平面構成」の授業をしている坪山先生は、8月末から中国(上海)に行きました。

AIR(アーティスト・イン・レジデンス)の活動として、上海に滞在しています。(3ヶ月の滞在期間、今は2ヶ月の滞在中)

気になる上海でのAIR活動をインタビューしてみました。

上海に行く前の記事はコチラ

https://www.ndg-nbs.ac.jp/topics/campusblog/4804

※「AIR(アーティスト・イン・レジデンス)とは?」アーティスト滞在型の創作活動のこと。アーティストが海外に一定期間滞在し、現地の人や異文化に触れながら、アーティスト同士が交流しながら創作活動をすること。

展示会の打合せを行っている坪山先生(パソコン画面を確認しています。)

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Q1.AIRとしての活動はどのようなものですか?

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本AIRは、上海中心部から西に車で1時間ほどの郊外にある朱家角というところで行われています。

スタジオ兼住居の建物に、2〜3組のアーティストが共同で生活しながらそれぞれの作品の制作を行います。

レジデンス期間の終了前には、オープンスタジオという形で成果展が行われています。

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Q2.一日のスケジュールを教えてください。

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朝は朝食を食べた後、9時くらいから制作を始めます。 出かける用事(画材や食材の買い出し)がない日は、食事以外はずっと制作をしています。 食材はだいたい3日に一回くらいの間隔で大きなスーパーに買い出しに行きます。 夕方涼しくなってきた頃に、子供達と近くの湖に散歩に出かけて気分転換をする事もあります。 夜は、絵を仕上げたい時や制作に集中している時は時間を決めずに徹夜で制作する事もあります。

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どんなアーティストがAIRに参加されていますか?

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アニメーションやインスタレーション、絵画など様々なメディアで表現するアーティストが参加しています。

写真が坪山先生のアトリエ

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Q3.食事はどうですか?

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とても美味しいですよ。上海の料理はそんなに辛くなく、店でも子供たちも抵抗なく食べています。特にワンタンや小籠包、シューマイなどの点心や、麺類が日本人の舌に合っていてめちゃくちゃ旨いです。 一方で、蛙や豚の脳ミソなど日本ではなかなか食べれないものも多くあり、刺激的で楽しいです。

何より、私達の住んでいる田舎の方は食材が新鮮で美味しい上に安いので、食事がみんなにとっての楽しみの一つになっています。

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Q4.カルチャーショック(日本の文化との違い)などはありますか?

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とにかくあらゆるものがデカいです。 幹線道路なども日本の4倍くらいの幅で、移動が大変ですね。 地下鉄に乗るときの荷物チェックが空港並みのセキュリティなんです。 毎回X線検査があり、スプレーなどは持ち込めないので画材を持ち運ぶのも一苦労します。

子供に対しての愛が半端ないです。 バスや電車で子供は速攻で席を譲られます。

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Q5.お子さん(ご家族)はどのような様子ですか?

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長過ぎる夏休みを満喫しています(笑) 何かを描く、作るということが当たり前にある暮らしの中で、彼らもまた創作が生活の一部になっているようです。 耳や目に飛び込んでくる日本とは異なる言語や景色に、多くのことを感じ、考えて欲しいと思っています。

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Q6.アーティストとして滞在しながら制作はできていますか?

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最初の1ヶ月は生活面を整えたり、上海の街や美術館、ギャラリーを見て回るのにあっという間に過ぎた感じです。それでもまだ見きれてはいませんが…。

制作が落ち着いてできるようになったのは2ヶ月目に入ってからです。 ちょうど、その頃に展示のお誘いをいただき、半月ほどは制作と展覧会準備に追われていました。今は、帰国まで約1ヶ月と迫ってきたので、より集中して制作したいと思っています。

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Q7.上海のアート市場の話 ・現代美術館などアート市場で

感じることは?

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間違いなくアジアのメインストリームに上海のアートシーンはあるということを感じます。公立の美術館は少ないですが、コレクターや企業による私立美術館が数多くあり、若者を中心として美術館に行くということがライフスタイルの一部であり、展示を見てその写真をSNSにアップするという行為がごく自然なことになっているようです。

ペロタンやオオタファインアーツなどの国際的なギャラリーが次々とオープンしているし、BANKやAikeといった上海のギャラリーもとても面白い展示をしています。 人々にとって、現代美術が新しい視覚経験として新鮮な存在であるということが伝わってきました。

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Q8.上海の街から感じることは?

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日本に比べて、テクノロジーの発展や進歩がものすごいスピードで進んでいると感じました。開発されずに残っている長屋のような街並みが高層ビルのすぐそばにあり、その極端なギャップがよりそのスピード感を強調していました。

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Q9. AIRに参加されて良かったですか?

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もちろん参加して良かったと思います。大変な事も多々ありますが、一定期間新たな場所に身を置いて過ごすなかで全く違った方向からアイデアが出たり、今まで当たり前だった事がそうではなくなることで、より自分が何をしたいのかを問う機会が増えます。作家によってAIRの目的は様々だとは思いますが、今回の私のレジデンスでは色々な事をインプットできているので、日本に帰ってからも作品化としてのアウトプットの作業はしばらく続くと思います。

以上でインタビューを終わります。

坪山先生、お忙しい中ありがとうございました。上海の話、先生が帰国されたら学生の皆さんに沢山話していただきたいと思います。