注目の会社!障害とデザイン 株式会社カムラックにインタビュー

2019年8月8日 ニュース

本日は福岡市博多区千代にある「(株)カムラック」様に企業訪問をしました。

代表取締役の賀村研さん(写真右)、執行役員でデザインの統括をしている三反田潤様(写真左)にインタビューをしました。

(カムラック設立の理由は?)

(賀村さま) 人口減少で、社会を支えていく人材が減っていく中、高齢者や外国人の労働、女性の社会進出が課題となっていますね。当然ながら、障害者も同じです。今や障害者の数は全国で850万人~1000万人以上とも言われています。何らかの障害を抱えている皆さんを国の税収だけで支えていけるかというと、それは難しい問題です。そして、心や身体が動かなくても「働きたい!」「支えられる側から、支える側になっていきたい」と考えている方もいらっしゃいます。

私は平成25年に株式会社カムラックを設立しました。

 

(カムラックはどのような事業があるのですか?)

私たちの事業は国から認可を受けて、障害者就労継続支援(A型)事業所・障害者就労移行支援事業所を設置しています。

(※説明はカムラックHPの障がい者就労継続支援(A型)事業所・就労移行支援事業所

障害者就労継続支援(A型)事業所では、企業などに就労することが困難な障害のある方が雇用契約に基づく仕事の提供や知識技術の向上に必要な訓練を行います。最終的には一般就労への移行を目指します。そのために必要な「福祉スタッフ」や「働くための環境設備」を整備しています。障害者就労移行支援事業所では、障害を持っている方が、就職をするために必要な「技術」や「知識」を学ぶ訓練や相談、支援を行っています。カムラックではA型事業所に50名、就労移行支援事業所には20名、その方々をサポートするスタッフが20名、約100人が働いています。

(障害者の方はカムラックではどんな仕事をしているのですか?)

これがカムラックの特長ですが、ITビジネスを専門にデザイン、Web、プログラムの制作事業をしています。私たちのスタッフ障害者とはいえ一般のIT企業と同レベル、それ以上の仕事をしています。実は、私がカムラックを立ち上げる前は障害者の方に仕事を出す側だったんです。今は淘汰されましたが、当時ハローワークに行くと障害者A型支援の会社は沢山ありました。ITをやっているところもありました。そういった事業所にIT関連の仕事を出してもなかなかプロジェクトを進まないのです。他にも「彼ら(障害者の方)が頑張っているんです。でも売れないんです、使ってくれないんです。」と言って商品やサービスを販売している声をよく聞きます。「これも違うなぁ」と思いましたね。するとその事業所の方から「彼ら(障害のある方)ができるような仕事をください。」と言われました。「違うなぁ」と思いましたね。障害をお持ちの方の生産性に問題があったわけではないです。むしろ逆で仕事を受けている事業所の方たちが、IT関係の仕事を管理するマネジメント能力が無いことがわかってきました。管理(マネジメント)する側の問題だと思いました。

更に「彼ら(障害者の方)が可哀想だから仕事をください。」と言われたこともあります。「それも違うなぁ」と思いましたね。同情営業は一回しか使えない。だからこんなやり方では持続しないと思いました。

私の中でだんだんと「福祉」に関する常識がビジネスの中での「非常識」と感じるようになりました。

障害を持っていたとしても、良いモノをつくっていける能力や可能性をもっているのに、単純作業をする事業所が殆どでその能力を発揮できる場がないと感じましたね。

私はカムラックを立ち上げることにしました。「彼らのために何とかしよう」という精神ではなく、自分の給与は仕事で稼ごう!というのが、基本スタンスだと考えてもらうようにしました。私たちは外部の方に分かりやすく障害者という言葉を使いますが、私たちは健常者だろうが障害者だろうが「一緒に仕事をしてくれる社員」としか考えていません。ビジネスでは当たり前のことを徹底しています。結果的に月給6000円だった方が、ウチに来たら12万円になった方もいらっしゃいます。15万円~20万円の給料を払うということは、本人の能力で「稼ぐ」ということが大切です。その為に必要な支援をするのが私たちの役割だと考えています。

(価格的なものは安く提案をしているのでしょうか?)

(賀村さん)販管費は、国から一部支援を受けているので価格勝負はできますが、でも最初から「うちは安くないですよ」と提案しています。それは成果物をみていただければそれは納得いただけると思っています。

(CDジャケットのデザインなどもされているのですね)

(賀村さん)そうですね。CDジャケットや演劇のポスターなどエンターテイメントの仕事が多いです。普通のデザイン会社ではなかなかできないエンタメ系の案件をできるだけとるようにしています。CDジャケットのデザインはクレジットに制作したデザイナーの名前が記載されます。制作した本人も喜んでもらえる仕事ですからね。

▼卒業生がデザインしたCDジャケット

 

(このような事業が全国的にも成功している事例が少ないと聞きましたが?)

(賀村さん)まず、障害者の方が働いている環境は短時間労働の会社が多いんですね。なかなか売上が上がらない会社が殆どだと思います。もちろん障害の程度にもよりますが、仕事の内容を考え、私たちが営業をし、私たちマネジメント側がしっかりやれば自ずと結果は出るものです。その結果を出すための投資、立地やパソコン、デスクなど設備環境もしっかり整えて仕事をしてもらうことが大切ですね。

(三反田さん)成功している原因は、私たちに福祉の常識がなかったことがかえって良かったと思います。最初は戸惑いもありましたが、今は「障害ってなんなのかな?」と思ったりしていますね。

ただ伝え方には注意しています。例えば耳で聞くことが理解できなかったりするんです。理解できないとうまく仕事ができなくなる方もいらっしゃいます。だから教える側、伝える側が工夫をしたら、変わることだと思いますね。目で見て理解する能力が高く、図で説明したら、すぐに理解できる方もいるんです。ひとりひとりの対応が必要ですね。

(やる仕事で意識していることは?)

(賀村さん) 成功できる、成果が実感できる仕事、多くの人たちに見せられる仕事の案件をとるようにしています。その成功体験は本人たちの自信につながりますよね。公に名前をPRできる仕事などを意識的にもらってきたりしていますね。芸能人とかオリンピック選手とか、上場企業の仕事だったり、世界の注目するベンチャー企業だったりする方達が、この会社にも訪問してくれるんです。そういった会社との仕事で誇らしいと思える仕事につながっていくと思います。

(今後、カムラックが目指して行くこととは?)

(賀村さん)10名、20名なら私だけの営業でなんとかなりましたが、何百万人いると言われる障害者がいる中で、経営で悩んでいるA型支援をしている会社に、私たちができるアドバイスやサービスを伝えていきたいですね。

(三反田さん) お客様の問題を解決する手段としてデザインはあると考えています。そういうデザインの能力をもっと引き上げてあげられたらと思います。私たちと共に相手の頭の中を可視化していけるようなデザイナーになってくれたらと思います。

(この業界を目指す方へ)

(賀村さん)私は、デザインができる人を尊敬しています。これができる事は本当に強みです。デザイン業界は、ちゃんとご飯を食べていける世界ですよ。社長の考えを形にできる存在は本当に大切です。どんな企業も経理部、総務、人事はあるけど、本当はデザイン部って各社に置いた方が良いと思っています。それくらいデザインって大切だと思います。

(三反田さん)やりたいことの延長に仕事ってありますよね。仕事はお金を稼ぐだけではないです。それを実現させていくために、デザイン+αを考えていけると良いと思います。

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以上でインタビューを終了します。

「福祉」「障害者」その会社ってどんな会社?と来てみました。本当に素敵な会社でした。

卒業生がここで活躍しています。いろいろな会社、世の中にクリエイティブ、デザインが必要だということと、障害がある方は生産性が低いわけではなく、むしろ仕事の内容や働く環境、マネジメント方法がポイントだと感じました。ビジネスを持続させていくために必要な事を学ばせていただきました。

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